客先は他社のイオン交換樹脂を長年使われているが、度重なる値上げのために製造コストが上昇し続けており、コストダウンのためイオン交換樹脂銘柄の変更を検討された。当社への相談内容はコストダウンが第一であるが、イオン交換樹脂の性能は現行品と同等であることも必須条件とされた。具体的には、糖液の管理項目である、脱色性能を示す色価、脱塩性能を示す電気伝導率とpH、糖液特有のBrixと濁度が既存品と同等であるというもの。
【試験概要】
客先での処理フローと同様に、イオン交換樹脂による多段処理を行った。処理液の液質が既存品と同等であることを確認するため、既存品と当社提案品の2系列を準備し、糖液の通液試験を行った。評価項目は客先から希望のあった、色価、電気伝導率、pH、Brix、濁度とし、両方のイオン交換樹脂処理液を分析して各値を比較した。
【課題】
①コストダウン
既存品と同等性能かつ、より安価な品目を選定する必要がある。
②評価項目の実数値における実機との差
実機において、評価項目は基準値が設けられている。ラボにおける小規模検証では、同一品目においても実機と同等の数値が得られるとは限らない。
③実機における加温
糖液は粘性が高く、実機においては加温しながらの通液となる。
④繰り返し性能の確認
通液と再生を繰り返しての運用となる。糖液処理においては、有機物がイオン交換樹脂表面に付着し、反応性を低下させる恐れがある。よって繰り返し性能を評価するため、ラボ評価においても薬液再生およびその後の性能を確認する必要がある。