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  • 技術コラム

リチウム吸着剤

1.はじめに:リチウムの重要性

 リチウムは原子量約7、周期律表I族に属する最も軽い部類の金属です。その用途としては、古くから窯業・ガラス添加剤、金属グリースなどが知られています。
 その後、リチウム化合物を二次電池の正極に用いると高エネルギー密度、優れた充放電特性が実現することが分かり、1990年代にリチウムイオン電池が開発されました。

 その結果、2010年代に入ってからは二次電池向けの用途が主となっていて、特にハイブリッド自動車や電気自動車の需要の急拡大と共に、リチウムの需要は今後大きく拡大すると言われています。

 一方、リチウム資源は主に南米などの塩湖からの濃縮かん水あるいは豪州などからのスポジュメン鉱石になります。リチウムの利用形態としては主にかん水・鉱石を濃縮・精製して粉末状の炭酸リチウムに変換し、それが出発原料となって様々な用途向けの化合物などに加工されています。
 その主原料であるリチウムの生産には以下の2つの課題があると言われています。 
 第1に、リチウムはサプライチェーンの課題です。リチウム生産はチリ、豪州、アルゼンチン、中国の4ヵ国に集中しており、国際情勢や国内政治の変化などをきっかけに供給が不安定化する可能性があると言われています。

 これらの課題を解決する方法として、環境負荷の少ないリチウム精製技術「DLE(Direct Lithium Extraction、直接リチウム採取)」が世界中で研究されています。かん水や鉱石抽出液から直接、リチウムが回収できれば、課題を解決することが出来ると言われています。
 一方、純水製造などで広く使用されているイオン交換樹脂は、リチウムイオンに対する選択性が非常に低く、リチウム以外の夾雑イオンが高濃度で存在するかん水や鉱石抽出液からは、ほとんど回収することが出来ません。

 長年に渡りイオン交換技術を提供してきた当社では、夾雑イオンが存在する環境下でもリチウムイオンを選択的に回収可能な「リチウム吸着材」に関して精力的に研究開発を行っています。ここでは当社で開発評価し上市した「リチウム吸着材」の特性・性能についてご紹介します。

2.当社「リチウム吸着材」の性能

2-1.リチウム吸着材の特性
 当社の所有するイオン交換樹脂調達ルートを生かし、通常のカチオン交換樹脂では吸着しにくいリチウムイオン選択性を有する「リチウム吸着材」の開発を行っています。
 これまで研究レベルでは粉末状のものはありましたが、通液処理には不向きでした。
 その中で、大量供給可能で、且つ連続した通液処理が可能な顆粒状の「リチウム吸着材」を開発しました。本吸着剤は、写真に示すような成形体で、通液処理に適切な粒度分布となっています。加えて、通液可能な強度も十分に有していますので、長期間の使用にも耐え得るものです。

 当社リチウム吸着材:Muromac WN-510Cの基本特性は以下の通りです。形状が球状であるため、通液処理に好適なものとなっています。

 また、運用条件は以下の通りです。高いリチウム吸着容量を有していること、吸着したリチウムを純水で溶離可能であること、高温環境下でも処理が可能な特性を有しています。

2-2.リチウム吸着特性
 世界中のリチウム供給場所の一つである、南米「アタカマ湖」の濃縮かん水を模擬して処理試験を行いました。リチウムイオン濃度は1.82g/Lですが、ナトリウムは70g/L、塩化物イオンは150g/Lなど、様々なイオンが非常に高い濃度で存在しています。
 この原液をリチウム吸着材に通液して、処理前後のイオン濃度の測定を行いました。その結果、処理液のリチウムイオン濃度は1.82から0.08g/Lと大きく低下し、リチウムを吸着していることと、きれいな破過曲線を描くことが確認されました。更に、リチウムイオンを吸着後、純水を用いて溶離特性を調べた結果、溶離曲線に示す通り吸着したリチウムイオンがほぼ全量、溶離可能であることも確認されました。

 

3.まとめ

当社のリチウム吸着材の特徴を整理すると、以下の様になります。

●高濃度の夾雑イオン存在下でも、高いリチウム選択性を有しています。

●高い吸着容量:≧7.0g/L-Rを有しています。

●純水で90%以上の溶離が可能で、再利用も可能です。

 処理条件や溶離条件の最適化などの最適化を研究中ですが、当社リチウム吸着材は高濃度の夾雑イオンが存在する中でリチウムイオンを選択的に吸着し純水での溶離が可能であることから、将来技術としての期待が掛かっています。

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