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  • 技術コラム

有機フッ素化合物(PFAS)除去用吸着材

1.はじめに

PFASとは、ペル/ポリフルオロアルキル物質と呼ばれる化合物の総称です。元々自然界に存在したものではなく、1940年代に人工的に開発されたものです。これらの物質は、耐熱性、撥水性、撥油性、難燃性などの安定性を示すことから、飛行場や軍施設で泡消火剤、半導体製造時に使用される冷却用溶媒、金属メッキ処理液などの工業用途や、焦げ付きにくいフライパンのコーティング、撥水性アウトドア用品、食品包装紙などの消費者向け製品など、幅広く使用されています。水や油をはじく、熱や薬品に強い、光を吸収しない。自然環境下で分解されにくく蓄積しやすいため、『永遠の化学物質』(フォーエバー・ケミカル) と呼ばれています。

一方、PFASは非常に安定性が高いため環境中で分解されづらく、水や大気を介して移動し、生物に蓄積しやすいという特徴を持ち、生物の健康に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。

PFASには非常に多くの物質があります。炭素の数や構造により呼称があり、PFAS・PFOA・PFHxSなどがあります。

厚生労働省は、2020年に水道水の暫定目標値として、「ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)の和として0.00005mg/L(50ng/L)以下」を設定しました。これは体重50kgの人が1日2ℓの水を生涯にわたって摂取しても健康影響が出ない、として設定されています。

水道水質基準について | 環境省

水中に含まれるPFASを低減する対策としては、活性炭や膜分離などの技術が使われていますが、その一つとしてイオン交換技術を用いた「PFAS除去用吸着材」があります。当社でも精力的に研究開発を行っています。ここでは「PFAS除去用吸着材」の性能についてご紹介します。

2.イオン交換樹脂によるPFAS除去性能

イオン交換樹脂には様々な種類のイオン交換基を持つものがあります。当社では、これまでの知見を踏まえ様々な種類のものから、PFAS吸着に有効と考えたアニオン交換樹脂を選定しています。

末端に親水性のスルホン酸基やカルボキシル基を持つPFAS類は、水中では電離し、陰イオンとして存在します。PFAS用イオン交換樹脂はイオン交換による吸着に加え、母体構造がPFASとの疎水性相互作用による吸着に寄与します。これらの効果によりPFAS用イオン交換樹脂とPFASは強く吸着すると考えています。

当社では、2種類の方法にてPFAS除去特性を評価しています。

【バッチ法によるKd値測定】

5種類のPFASを含む純水を準備し、そこに種々のPFAS用吸着材を添加して反応させました。吸着材添加前後のPFAS濃度を測定し、Kd値とよばれる分配係数を算出して評価しました。その結果、いずれの吸着材も100以上の値を示し、十分な吸着性能を有すること、イオン交換樹脂は1000に近いKd値を示し、活性炭が苦手とする短鎖PFASにも有効であることが分かりました。特に、Lewatit TP108 DWが優れた性能を示しました。

【カラム法によるライフ試験】

水道水にPFOS、PFOA、PFHxS3種類のPFAS類を添加して模擬水を調製し、カラムに充填したイオン交換樹脂で処理しました。

図2.ライフ試験模式図

同量の水を処理した結果、活性炭は破過したもののイオン交換樹脂は3種とも破過がみられませんでした。イオン交換樹脂が、活性炭より大きい吸着容量を有していることを確認しました。

【カラム法によるライフ試験②】

WMT-718Bを選定し、負荷を増やした試験を実施しました。水道水にPFOS、PFOA、PFHxS3種類を添加して各濃度を7μg/Lとして通水しました。
PFAS濃度と通水量は平均的な環境水を想定し、数年分のPFAS量が負荷される設定としています。

表2.ライフ試験②結果

PFAS3年分を負荷した時点でのサンプルではPFOAが、4年の時点でPFOSとPFHxSも破過しました。この結果から、イオン交換樹脂は平均的な環境水を処理する場合、数年単位で処理ができる可能性が示唆されました。

3.これまでの取り組み

これまで多くのご相談・引き合いをいただき、各所で検討が進んでいます。
実績
〇環境省公募 PFOS等の濃度低減のための対策技術の実証事業
詳細はこちら:「PFOS等の濃度低減のための対策技術の実証事業」における対象技術の選定について | 報道発表資料 | 環境省
〇相模原市 公園での実証試験
詳細はこちら:PFOS及びPFOAを含む環境水の浄化に向けた技術実証試験の実施 | 2025年 | ニュースリリース | 奥村組

他、地下水の浄化などでも使用いただいております。
最終処分場の浸出水や環境水など、さまざまな水質でイオン交換樹脂の有効性を実証することができております。
この実績で得た知見を活用してまいります。
また、気相中のPFAS除去用に新しい吸着材の評価をすすめております。

4.まとめ

◎当社:PFAS除去用吸着材は、種々の有機フッ素化合物の除去に有効です。
◎PFASの特性や種類、濃度により最適な提案をいたします。
◎吸着材供試や評価試験、共同研究の依頼など、お気軽にご相談ください。

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