イオン交換樹脂は水を吸収して膨潤し、樹脂相内に細孔ができます。この細孔をミクロポアと呼び、水中に存在するイオンはこの細孔中を拡散してイオン交換が行われます。架橋剤であるDVBを多く使用すると架橋が多く膨潤しにくいミクロポアの小さい樹脂ができ、DVBが少ないとミクロポアの大きい樹脂が出来ます。DVBの使用割合を架橋度と呼び、一般にDVB%が8%のものを標準架橋度樹脂、これより少ないものを低架橋度樹脂、これより多いものを高架橋度樹脂と呼びます。水処理には架橋度8%もしくは10%のものを主に使用します。
均質なゲル状に重合して製造したイオン交換樹脂をゲル型樹脂と呼び、これに物理的多孔性(マクロポア)を賦与して製造した樹脂をポーラス型樹脂と呼びます。マクロポアは樹脂粒の表面積を大きくしてイオン交換の速度を速くするのに役立つと言われています。また、架橋剤の量を加減すると、多孔性や種々の特性を調節することができます。これら、イオン交換樹脂の構造と架橋度によってその特性が変わり、様々な特性でメリットとデメリットがあります。これらの様々な特性を理解した上で、最適なイオン交換樹脂を選定して使用する必要ありますが、この選定は簡単ではなく、長年の経験がものを言う領域です。
例えばイオンを吸着可能な量を表す「交換容量」を見ると、架橋度が高いイオン交換樹脂や、ポーラス性の低いイオン交換樹脂の方が大きいです。一方、イオンの吸着しやすさを表す「反応速度」を見ると、交換容量とは逆に、架橋度が低い樹脂やポーラス性の高いイオン交換樹脂の方が有利です。従って、どのような特性を主として考えるかによって、使用するイオン交換樹脂は異なってきます。
イオン交換樹脂は直径0.3~1.2mm程度の球形物質で、写真に示すように粒径分布が広い範囲であるガウス分布のイオン交換樹脂と、ほぼ粒径が揃っている均一粒径分布のイオン交換樹脂があります。これらはその用途により使い分けしていますが、均一粒径分布のイオン交換樹脂の方が、反応性や再生性など有利な特性を有していることが多いです。
粒径分布が広い。
充てん密度が高い。
ほぼ均一。
反応性や再生性が高い。
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